2009年9月28日月曜日

世界を見る目を養う-不透明な時代を見抜く「統計思考力」

不透明な時代を見抜く「統計思考力」を読了しました。
データの怖さと痛快さを堪能できる本でした。

データ分析のススメ

世の中ではデータを元に様々な主張がされます。その主張の元となったデータの信憑性について、この本は考えさせられます。データを取ると言っても、データの取り方やデータの数、その時の社会的背景等、結果として出てくる数字以上に、背景をよーく考えないと、所謂数字のマジックに絡め取られてしまいます。
この本では、データ分析の実例をいくつか挙げてくれています。
その過程が非常におもしろい。盲目的にデータを信じることのバカらしさが身に染みます。この本の「基礎編」で解説されている、元データを当たるだけで、世の中の理解が大きく進む可能性を感じました。

相関関係の難しさ

物事の相関関係がわかれば、物事の判断が容易になります。しかし、この本を読んで特に感じたのが、相関関係を証明する事の難しさでした。丁度、小泉改革による格差社会云々で民主党が政権を奪取しましたが、本当に小泉改革と格差には関係があるのかと言う点について、検証されています。
ジニ係数やホームレスの実態検証データを示した上でのまとめは以下のようになっていました。
これまで見てきたデータでは、小泉改革と格差拡大の関連ははっきりしません。しかし、「格差社会」そのものは幻想ではないようです。

ある物事があるという事実を見極めることに比べて、相関関係を測ることが大変難しいことがよくわかります。一側面だけを見て相関関係を論じることの危険さを物語っています。

まとめ

この本を読んで、今後気をつけようと思った点を挙げます。

1.データのソースを当たる
データが示されているときはできる限り情報元も当たるように心がけます。不適切な引用がされている可能性があります。

2.相関関係を安易に信じない
データに相関関係がある場合も、単に時代背景がそうである場合もあります。安易に相関関係は信じないようにします。

3.データの取り方を検証する
例えばアンケートの取り方ひとつで、回答を誘導することは可能です。どのようにデータが集められたかを検証することは大事です。

0 コメント:

コメントを投稿