2009年8月28日金曜日

真のワークライフバランスを求めて -仕事と幸福、そして人生について

仕事と幸福、そして人生についてを読了しました。
できれば仕事なんかせずに人生を過ごしたい私のような人間も、仕事とプライベートの狭間で悩む方には、たくさんのヒントが得られると思います。

自分にとってのワークライフバランス

ワークライフバランスと言う言葉を聞くようになってから随分経ちましたが、今も良く耳にします。一時の流行というわけでもなさそうです。
この言葉の表面だけ聞きかじって、残業は全否定している方もいるのではないでしょうか。私も「残業=悪」と思った時期がありました。
本書ではワークライフバランスを考える前に、自分が仕事に求めるものが何なのか、しっかり向き合うように勧めています。そんな中でお仕着せではなく、自分だけのワークライフバランスを見つめようと主張しています。

世間と自分のワークライフバランス

自分のワークライフバランスと、会社の方針が合えば言うことないのですが、実際は合わないことの方が多いと思います。
そんな中で自分の道を進むのは大変苦労がいるでしょう。
その苦労の大変さを、本書では下記の引用で表現しています。
きみたちをほかのみんなと同じ人間にしようとするこの世界で、ほかの誰でもない自分自身でいようとする戦いは、人類のなかでもっともきついものであり、そして決して終わらない戦いである

本書はその答えについてはあまり言及してくれません。むしろ、その大変さを強調しています。
しかし、やりがいのある仕事を真剣に求めることの価値はたくさん語ってくれます。
仕事と真剣に向き合う勇気を与えてくれます。

ただ、本書は結果よりプロセスを大事にしすぎていると感じる部分もありました。
結果ばかりに振り回されている人には非常に有用だと思いますが、私としては後から結果がついてくるなんて事は滅多にないと思っているので、この点は著者と意見が違っているように感じます。
「真剣にプロセスを大事にしてきたのか」と著者には突っ込まれそうですが。
著者と一杯飲みながら話したくなる一冊です。

2009年8月21日金曜日

読めば感覚が研ぎ澄まされる本 -哲学、脳を揺さぶる

哲学、脳を揺さぶる オートポイエーシスの練習問題を読了しました。
不思議な本でした。私にとっては決して平易ではない文章なのですがどんどん引き込まれてしまいます。
電車の中で読んでいて、何度か乗り過ごしてしまったりしたほどです。

読み方

私は速読を習ったりしたわけではないのですが、恐らくこの本は「速読禁止」でしょう。
本書が問いかける事柄にはじっくり向き合っていかないと、本書を読んだ事にはならないと思います。
例えばこんな質問です。
四元素(水、空気、土、火)の原風景を思い起こしてみてほしい。

著者の水から想起する原風景は、
水については、直ちに渦巻きが思い浮かぶ。水が渦のなかへともぐりこむ手前で、水は一瞬躊躇する。そして、ひとたびもぐりこんでは、しばらくして再び大気中に噴出するように盛り上がってくる。

こんな調子で考えさせられる問いがたくさん発せられます。これらの問いを考えることで、オートポイエーシスと言うものと、「できるようになる」感覚の一端がつかめてくると思います。

効用

この本を読み進めるに従って、今まで通勤で歩いている道が新鮮に見えてきました。
そして、歩き、手を振ることで風を感じていることを思い出します。
世界はこんなにも見て、考えて、想像する対象に溢れているのかと驚愕します。
ちょっとオカルトじみてるかもしれませんが、私の言葉ではこれくらいの表現しか出来ないのが悔しい所です。

考える、感じる、想像する、知覚する、これらの行動がどれだけ世界を広げるか思い知らされました。
本書を読み進めていくとどんどん感覚が研ぎ澄まされていくのを感じます。
またしばらくして読み返したくなる一冊です。

2009年8月17日月曜日

時間との付き合い方-迷いの晴れる時間術

迷いの晴れる時間術を読了しました。

タイトルにある「時間術」という単語に惑わされてはいけません。
時間を有効に使うというより、時間との向き合い方を懇切丁寧に教えてくれる本です。

時間志向

本書には<ジンバルドの時間志向テスト>と呼ばれるテストが含まれています。
このテストで、その人の時間に対する考え方を以下の分類で読み取ることが出来ます。
  • 過去肯定型
  • 過去否定型
  • 現在快楽型
  • 現在宿命論型(何をしても無駄だという考え方)
  • 未来型(未来の結果に重きを置く考え方)
  • 超越未来型(死後の世界を意識する考え方)

本書ではこの分類に従って、それぞれの時間長所と短所を分析します。
時間術と名のつく本に少しでも興味があるのなら、上記の分類で言うと未来型の傾向がある方が多いのではと思います。

時間志向と幸福

<ジンバルドの時間志向テスト>によると、私は未来型でした。
未来型の私に対する分析も実に的を得ていました。
未来型の人はゴールを設定し、現在の快楽に囚われずに生きようとします。しかし、未来に比重を置きすぎてしまうばっかりに、今を楽しむことができていないのです。
本書では、宝くじを当てた人や大事故で障害を負った人を例に、幸福とは何かと言う所まで踏み込んでいます。
本書を読めば、時間との向き合い方と同時に、幸福とは何かと言う事まで深く考えさせられます。

ともすれば、時間の浪費を避けすぎている自分に、本書にも引用されていたバートランド・ラッセルの言葉を胸に刻もうと思います。
浪費を楽しんでいる時間は、時間の浪費にはならない。

本書では私のような未来型の人にはもちろん、他の時間志向の分析も懇切丁寧に行われています。
全ての時間志向の人に参考になる良書です。

2009年8月13日木曜日

生きる事を意識しよう -自分をあきらめるにはまだ早い

自分をあきらめるにはまだ早い 人生で大切なことはすべて歌舞伎町で学んだを読了しました。
本書の著者はホストクラブでナンバーワンをとり、その後自らホストクラブを経営されています。
著者は厳しい業界で大変努力されてきたそうで、その人生に基づき読者を厳しく叱咤激励してくれる良書です。

Win-Winのその前に

私がこの本から受けたメッセージは、自分を諦めるなと言うタイトルにもあるメッセージよりも、自分を知れ、自分を持てと言うことでした。
例えば著者はWin-Winを否定しています。
相手のWinを考える前に、自分にとってのWinをしっかり突き詰めろというアドバイスです。
正確にはWin-Winを否定している訳ではないと解釈したのですが、確かに自分のWinも分からないままにWin-Winはありえないですね。

自分のWinを知るために

私は、根性だけではダメですが根性がなくてもだめだと思っています。
ですので、著者が主張するように、遊びも仕事も精一杯やろうという主張は納得できました。精一杯生きていかないと本当の自分にとってのWinは分からないと思います。
あまり余裕がなくなる方向での精一杯ではなく、自分の感覚を研ぎ澄ます方向での精一杯を目指したいと思いました。

意識的に生きよう

自分を知り、常に責任を持って意識的に生きる事を厳しく教えてくれた良書でした。
最後に、本書に載っていたとても心に残った詩を引用します。
意識しなければ、生きるという事は自動継続の様なものです。
そんな意識に一石を投じてくれました。

趣味は「生きる」ことです。
死ぬことも選べます。

毎日いつでも両方のスイッチを持っています。
毎日生きるスイッチを押しています。
選んで押しています。

僕は今日も生きるスイッチを押しました。
選んで押しました。

僕は今日も生きます。


2009年8月11日火曜日

自分の心が自由になるように -鏡の法則

先日読了した脳が良くなる耳勉強法のススメにしたがって聞いた鏡の法則—人生のどんな問題も解決する魔法のルールを聞き終わりました。
長さが約1時間程度でしたので、通勤している間に聞き終わりました。

自分と周りの関係

周りで起こっている事に対して、解釈しているのは自分であることを説く本が世にはたくさんあります。
私もその考えには賛成する所が多いです。特にある出来事に対して瞬間的に反応してしまう自分の気持ちは、外の世界に対して反応が出てしまう前に、自分の中でもう一度よく考えるように努めています。
しかし、このオーディオブックはもっと根の深い部分が世の中の見方を変えてしまっている事を教えてくれます。

自分と周りとその先に

このオーディオブックは物語の形をとっています。主人公の母親がいじめにあっている息子について悩んでいる所から始まります。
物語のネタをバラすと、この母親が父親や夫に対して持っていた許せないという感情が息子のいじめにつながっていました。自分とまわりの世界という構図だと原因と結果がすごくわかりやすいのですが、自分の周りに対する感情が、息子のいじめにつながっているとは、原因が間接的でなかなか気付かないと思います。
しかし、ある人を許せず、それにとらわれている状態が、いかに回りに影響していくかは、この物語が実話に基づいているだけに、説得力があります。

心を自由にしよう

誰でも小さな事から大きな事まで、人に許せない感情は少なからずあると思います。
そういった感情に囚われることが、いかに心を浪費しているかが分かりました。
本書の最後の方でも説明されていますが、許すということは自分自身が自由を選択する事です。
過去に起きた事から自由になって、今を大切にしたいと思わされる本でした。

2009年8月9日日曜日

「カッと」なった時の処方箋 -EQ―こころの知能指数

EQ―こころの知能指数 を読了しました。
自分というもののコントロールの難しさと大切さを教えてくれる良書でした。

人間の脳は進化の過程で他の生物より大きく発達した大脳新皮質を手に入れました。
大脳新皮質の奥には、生命を維持する上で重要な働きをもつ原始の脳が活動しています。
原始の脳は生命の維持を目的としているので、危険が起きたとき等に即座に反応します。衝動的な行動を引き起こすのは原始の脳の働きが大きいわけです。

現在の人間社会では大昔と違いそれほど大きな危険に晒されることはありません。
しかし、原始の脳は今も人間の行動を支配してしまうことが多く、これにより様々な弊害が起きていると言うのが、筆者の問題提起の一つです。
私自身も、ついカッとなってひどいことを言ってしまったりすることがあります。
この、「カッと」なった瞬間、原始の脳に支配されてしまっています。

本書では自分の心をコントロールすることの難しさを表すお話が紹介されています。少し長いですが引用します。

日本の古い話だ。血気にはやるサムライが禅僧に、地獄とは何か極楽とは何か、と問う。しかし禅僧はサムライの問いを一笑に付す。「この無骨物が。お前なんぞに関わる暇は持たぬ」。体面を傷つけられたサムライは激怒し、刀を抜いて大声をあげた。「無礼な!切り捨ててくれる!」
「それを地獄と申す」。禅僧は静かに答えた。
怒りに狂った自分の心をズバリ突かれて我に返ったサムライは、刀を鞘におさめ、禅僧に向かって一礼した。
禅僧はふたたび口を開いた。「それを極楽と申す」。


本書では「カッと」なる脳の仕組みを科学的に解明するとともに、どのようにすれば情動に流されないかを夫婦生活や仕事での場面を例に提案してくれています。
情動に流されない心を作るためには、子供のころからの環境作りが大切だそうです。
子をもつ親としては、育児をしていく上で非常に参考になりました。
また、苦労はしますが大人になってからでも情動に流されない心を作ることは可能だそうです。

情動に流されないためのキーワードとして「共感」という言葉が随所にでてきます。
これまで「共感」の大切さを主張する様々な本に出会ってきましたが、本書はより具体的で、まさに共感を得ることができました。
自分をコントロールできていないと感じる方はもちろん、自分をきちんとコントロールできている自信のある方も、是非手に取って欲しい一冊です。

2009年8月5日水曜日

Plan習慣化の反省 -Zen To Done Habit3:Plan

先月初めに宣言しましたが、7月はZen To Doneで提唱されている Plan の習慣を身につける事にしていました。
Planの習慣は、日毎や週毎に本当に達成したい目標を計画し、確実に達成して行く習慣です。
週毎に立てた目標を達成出来るように、その日の朝や前日の夜にMIT(Most Important Task)と呼ばれるタスクを1〜3つ設定します。
このMITを一日の早い内に、確実にこなすようにします。

この7月は引越と転職が控えていたため厳しいかなと思っていましたが、案の定結果は思わしくありませんでした。
毎日MITで設定したタスクに手を付ける事はできたのですが、日毎や週毎に設定したゴールにたどり着くことができない日が多かったです。一日のうちや一週間のうちに達成するゴールを欲張って遠くに設定してしまった訳です。

Zen To Doneを提唱しているLeo氏も、まずは小さく始めて達成感を得ることを薦めています。
今回で言うと、もっと達成するゴールを近くに持ってきて、確実にゴールまで行き着く習慣も同時に身につけるべきであったと反省しています。

8月も引き続きPlanの習慣化に励みたいと思います。
二つ目の習慣(Process)の時も、結局2ヶ月かけて習慣化にこぎつけました。
月にたった一つの習慣化でもなかなか難しいものです。

2009年8月1日土曜日

オーディオブックへの道標 -脳が良くなる耳勉強法

脳が良くなる耳勉強法を読了しました。

この本の著者が創業したオトバンクは、オーディオブックポータルサイトFebeを運営されています。
実はオーディオブックは英語のリスニングの勉強で利用したことはありますが、日本語のオーディオブックを聞いたことはありませんでした。
英語のリスニングに関しては、英語を耳に慣れさせるためで、聞き流す事にあまり抵抗はありませんでした。
しかし日本語のオーディオブックには抵抗感がありました。
私が感じていた抵抗感は、
  • 聞き逃す事が頻繁だと、煩わしそう
  • 何かをしながら聞くことが多いので集中できなさそう
でもせっかくこの本と出会ったのですから、そのススメにしたがってFebeに入会してみました。
百聞は一見に如かずですね。
あと、著者の下記主張が私を一押ししてくれました。
リスニング能力の訓練(言葉を耳からたくさん入れる)によってリーディング能力が上がる
購入したのは鏡の法則—人生のどんな問題も解決する魔法のルールです。
さて、早速通勤途中で聞いてみたのですが、思ったより聞き逃すことはありませんでした。
聞き逃した部分は自分の耳に引っかからなかった以上、大した内容ではないという割り切りが必要と、本書にも書かれていましたが、その割り切りも思ったよりすんなりできました。

先日引っ越したばかりなので、通勤経路は通いなれた道ではありませんでした。
にもかかわらず、すんなり集中することが出来ました。耳から入る情報の処理は脳への負担が少ないという著者の主張のためかもしれません。
また、物語形式のオーディオブックであったことも集中できた要因かもしれません。
物語形式だと聞き逃したくないという意識が働いたのかもしれません。

オーディオブックにやや抵抗のある人や、一日の内で空き時間の多い聴覚を活用したい人には、是非読んでもらいたい一冊です。オーディオブックの世界への道標となると思います。