2009年5月13日水曜日

試してみないと始まらない! -リファクタリング・ウェットウェア

リファクタリング・ウェットウェア ―達人プログラマーの思考法と学習法を読了しました。

本書の著者、Andy Hunt氏と言えば、プログラマへ捧げた名著「達人プログラマー―システム開発の職人から名匠への道」で有名な方です。プログラマである私も大変お世話になりました。
そんな著者が脳を題材に本を書いたという事で、発売日当日に本屋に駆け込み、購入しました。
おかげで読書的にも有意義なゴールデンウィークになりました。

本書は達人になるための脳のチュートリアルのような構成になっています。
その一つ一つは、他の脳科学本に記載されている内容も多くあります。
効率の良い学びに興味がある方なら、一度は聞いたことがある内容も多いのではないでしょうか。
本書はそれらの科学的根拠は置いておいて、まずは試してみようという姿勢です。
著者と訳者が最終章とあとがきで、「試してみよう!」と働きかけています。

本書には、試す事の大切さを教えてくれるよい言葉が載っていました。

努力が失敗を呼び、気づき救う

試して、失敗して、気づくことで人は学びます。
試さないと失敗もできないですし、気づきも起こりません。

効率的に生産性を上げたい思いはだれでもあるでしょう。
科学的根拠に裏打ちされたプラクティスを効率的に試したい思いは誰にでもあると思います。
しかし、そもそも科学的根拠のあるプラクティスでも、人間の個体差によっては効果があったりなかったりすることもあるでしょう。
また、科学的根拠のないプラクティスでも、まだまだ科学では解明しきれていない部分もあると思います。
そもそも、科学的根拠があっても試さないことには始まらないですしね。

この本の各章末には「さっそく実行」と題して、脳に有効かもしれないプラクティスが列挙されています。
これらを拾い読みして試してみるのも良いかもしれません。

私が興味を引かれたプラクティスは、「難問にぶつかったら五感を総動員する」と言うものです。さっそくいろんな場面で試してみます。




リファクタリング・ウェットウェア 目次
日本語版に寄せて
賞賛の声
まえがき
1章 初心者から達人への道
1.1 初心者 vs. 達人
1.2 ドレイファスモデルの5段階
1.3 現場におけるドレイファスモデル
1.4 ドレイファスモデルの効果的な利用
1.5 道具のワナに注意
1.6 コンテキスト再考
1.7 日々のドレイファスモデル
2章 脳の構造
2.1 2種類のモード
2.2 いつでもどこでも洞察を逃さない
2.3 LモードとRモードの特徴
2.4 Rモードの躍進
2.5 Rモードは森を見て、Lモードは木を見る
2.6 自分でできる脳の手術と神経の可塑性
2.7 どうやって目的を達成するのか

3章 Rモードへの転換
3.1 関与する感覚の増加
3.2 右脳で描く
3.3 RモードからLモードへの流れを作る
3.4 Rモードが提供してくれるヒントを手に入れる
3.5 パターンを利用する
3.6 Rモードの出力を上手に手に入れる
4章 アタマをデバッグ
4.1 認知バイアスを知る
4.2 自分の世代傾向を認識する
4.3 性格の分類
4.4 ハードウェア的なバグ
4.5 では、どう考えたらよいのか
5章 意識的な学び
5.1 学びとは何か
5.2 「SMART」な目標を定める
5.3 プラグマティック投資計画の作成
5.4 自分の学習モード
5.5 同僚との勉強会
5.6 より優れた学習技術
5.7 SQ3Rで意識的に読む
5.8 マインドマップによる直感の視覚化
5.9 ドキュメント作成の真の力を利用する
5.10 教えることによって学ぶ
5.11 技を携えて町に出よう
6章 経験の積み重ね
6.1 学ぶための遊び
6.2 既存の知識の活用
6.3 失敗を生かす
6.4 インナーゲーム
6.5 プレッシャーによって損なわれる認識力
6.6 想像力は五感を上書きする
6.7 達人のように学ぶ
7章 集中のコントロール
7.1 集中力と注意力を増強する
7.2 集中のために集中をぼかす
7.3 知識の管理
7.4 現時点でのコンテキストを最適化する
7.5 割り込みの意識的管理
7.6 大きなコンテキストを保つ
7.7 焦点の定まった状態を維持する
8章 達人になってから
8.1 効果的な変化
8.2 明日の朝から始められること
8.3 達人になってから
付録A 参考文献
訳者あとがき
索引

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